かたまり

 


溶かした銀を型に流し込んで制作するロストワックスという

製法でジュエリーを制作しています。

ジュエリーになった後も、当然ですが溶かせばただの銀に戻ります。

他の貴金属も同じく、石などを外して溶かして精製し、

新しい製品に生まれ変わっています。


切れたチェーンは途中で繋いで修理しても格好悪いので、

お客様には新しい製品へ交換して、切れたチェーンは

貴金属の回収へ回します。

不要なチェーン、考えてみれば銀の削りくずと違って不純物も

混ざっていないし、溶かして塊にしたら使えるだろうな…

銀をバーナーで炙り続けるとやがて溶けて塊になります。

更に温度が上がると真っ赤な火の玉のようになって、

炎の中でギラギラ光りながら火の玉が回転するのです。

それがちょっと面白くて、笑

暇な時にまるい銀塊を作って遊んでいたのですが

これに針(ポスト)を付けてピアスにしてみようかな!

と、思っていますがまだやってはいません。

でも、いつも均一に丸くなるわけではなく、

やや不恰好なところがかわいいなと思っています。


ものを作る仕事では、作ったものを売ることで収入を得ます。

大量に作ったものが売れ残ったらその後捨ててしまうのか、

売れたとしても買った人が使わずにしまって忘れてしまう、

そしていずれ誰かが捨てるのか…

作る責任、つかう責任、とこの頃よく言われ、確かにそうだと思います。

自分が作ったものが不要なゴミとなって捨てられるのは残念なことです。

最終的に再生出来ないゴミは地中深く埋められて、

でもその後どうなるのか? のようなことを

延々考えてどんよりしてしまう時がありますが…

貴金属って、その点ほとんど捨てる部分が無いんだなと

今更ながら思って、

そしてそこがこの仕事の好きな所でもあったりするのです。

もちろん、再生出来ないものにも生活に不可欠な製品などがあって

自分もそれを当たり前のように使っている一人です。

でももしも、どこかの溶岩が噴き出しているような火山の火口に

そんな皆んなの悩ましいゴミを投入したら…

一瞬にして解決したりして、なんておかしな妄想をするのは

今日が11月なのに20℃という暖か過ぎる日だからでしょう。





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